白内障手術を受けた翌日に眼帯を外した時、私は思わずこう叫んでいました。
「世界がピカピカしている!」
大げさではありません!
本当にピカピカしていたんです!
私は小学校の5年生頃から教室の黒板の字が見えにくくなり、それから70年弱、ず~っとメガネとコンタクトレンズで過ごしてきました。
その手術のあと、私は待合室に座っていました。
その時眼に入ってきたのは、壁に掛けられた大きなテレビ画面でした。
この病院にはこれまで何度も通っていたし、この待合室にいつも座っていました。
でも、それまで、テレビの画面に目を向ける事はありませんでした。だって何も見えないのですから。
音は聞こえていましたが、画面に何が映っているのかなんて、全く分かりませんでした。
ところがその日、テレビの画面がはっきりと見えたのです。
どんな人が出ているのか、どんな情景なのかが分かったんです。
その待合室には、さらに、深海魚が泳いでいる映像の画面もありました。
青い海の中で鮮やかな色や模様の魚たちがゆっくりと泳いでいました。
あまりにも綺麗で、私はしばらくの間見とれていました。
で、思わず言葉が出てしまったのです。「わぁ、綺麗~!」
「世界がピカピカしている!」と感じた瞬間でした。
これまで私が見てきた世界は、きっと随分ぼんやりした世界だったのでしょう。
病院から外に出ると、景色がまったく違っていました。
青い空!
山々の連なり、雲の形や色!
全部がくっきりはっきりと見えるのです。
私は車の中で、隣の運転席にいる夫に何度も話しかけました。
「見て見て!」 「全部、ピカピカ、キラキラしてる!」
最初は夫も
「そうなんだ、良かったね」 と言ってくれていました。
でもそのうち、だんだんと返事をしなくなりました。
同じことを何度も言われて、きっと飽きてしまったのでしょうね。
それくらい私は、世界が変わったことに大興奮していたのです。
私はこれまで70年近くメガネやコンタクトを使ってきたのですが、今思えば、随分とぼんやりした世界を見ていたのだと思います。このことは、白内障の手術をして初めて気づいた事です。
世界はこんなにくっきりはっきりしているのだ!と。
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